怪我鎖骨骨折 > 鎖骨骨折の日常生活姿勢

鎖骨骨折の整復位保持

鎖骨骨折の保存療法では、日常生活でどんな姿勢をキープできれば良いのでしょうか?
前提:「鎖骨遠位端骨折」の場合で検討してみます。

整復位

骨片の位置

鎖骨遠位端骨折では、

  • 近位骨片(体の内側。胸骨に近い骨片):通常の位置か、上に転位する場合がある。
  • 遠位骨片(体の外側。肩に近い骨片):下に転位して、なおかつ前側が下方に旋回(捻じれる)場合がある。

これをなるべく近付けて、ピタッと合わせた状態でキープしたい。

後遺症

  • 近すぎる:骨片が重なっていたりすると、元の骨の長さよりも短くなって、骨がくっついても「変形治癒」になる可能性があるかも?
  • 遠すぎる:骨片が離れていたりすると、骨がちゃんとくっつかずに、「偽関節」になる可能性があるかも?

保存治癒の目標

  1. 骨がちゃんとくっつかない「偽関節」は避けたい。
  2. 骨がくっついても、なるべく元の長さ・形が望ましいので「変形治癒」も程度を軽くしたい。

最悪、骨がくっつかないよりは、くっついた方がましだと思うので、まずは「偽関節」にならないように注意して、次に「変形治癒」にならないように、優先順位を考えてみたいと思います。

起きているときの姿勢

(座る、立つ、歩く)

胸を張って、肩甲骨を後上方に上げる


  • 折れた骨が両側から牽引される形になると、骨の短縮を減らせる?
  • かと言って、引っ張られる過ぎると、骨片が離れてくっつかなくなるので、ほどほどにしておくべきか?
    ここは治療の専門家に相談すべきポイントだと思われます。

アームスリングで患側の腕を吊る

整復位(胸を張った姿勢)を保つには、手首が体の正中線よりも患側に近い位置にくるはずです。

arm_sling_good_position.jpg



逆に、整復位が保てていない場合、手首が体の正中線よりも患側から遠い位置にいくはずです。

arm_sling_bad_position.jpg

アームスリングの商品写真は、このパターンが多いと思いますが、鎖骨遠位端骨折の場合は、参考にならない姿勢だと思われます。

寝ているときの姿勢

鎖骨整復台に寝ているような姿勢を作り、なるべくキープする

鎖骨整復台
clavicle_reposition_device.jpg

  • 鎖骨整復台は、頭と背中を支える台の形をしている。
  • 鎖骨整復台とベッドの上に寝ると、両肩がだらんと下がって、自動的に整復位が保たれるようになっている。


鎖骨整復台の使用例
clavicle_reposition_example.png
(参照:鎖骨骨折に対して、鎖骨固定帯(クラビクルバンド)を使用してはいけないという考え方 | 蛯原接骨院

鎖骨整復台を参考にした仰臥位の高さ調整
clavicle_reposition_device_illust.png

  • 寝るときは仰向けに寝る。(仰臥位)
  • タオルなどをたたんで低い台の形にする。
  • タオルを背中の位置(上図の赤い部分)に置き、肩が下がって胸を張った姿勢(整復位に近い姿勢)になるようにする。
  • 体重で体が沈み込んで、背中が丸まった姿勢=胸が張っていない姿勢にならないように、硬いベッドや薄い布団で寝る。

こういった工夫をすれば、寝ているときも整復位に近い姿勢が保てるでしょうか。

寝返りを制限するために、足腰を板の仕切りで押さえる

寝ているときは、体の下側になっている部分(布団やベッドに接している部分)の血行をよくするため等で、無意識のうちに寝返りをうっています。―ド
鎖骨が折れている側に寝返りをうつと整復位が保てないので、なるべく患側へ体が転がっていかないように、ガード板や台などで壁を作ったら良いと思います。

sleep_position.png

  • 鎖骨骨折の患側の足元(上図の赤い四角形)に、板や台などがガードになるものを置いてみる。







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